使い方資料 日本ドリルねじ協議会推奨 『ドリルねじの正しい使い方 第3版』より引用 [参考 http://www.drill-neji.com/merge.pdf]
各部の名称と適応板厚
削孔板厚
①標準タイプのドリルねじ(リーマ付きドリルねじ以外)
呼び径 | 呼び長さ | 適応板厚 |
---|---|---|
3.5 | 10 | ~1.6t |
3.5 | 13 | ~2.3t |
4.2(4) | 10 | ~1.6t |
4.2(4) | 13 | ~2.3t |
4.2(4) | 16~ | ~3.2t |
呼び径 | 呼び長さ | 適応板厚 |
---|---|---|
4.8(5) | 13 | ~2.3t |
4.8(5) | 16 | ~3.2t |
4.8(5) | 19~ | ~4.0t |
6 | 19 | ~3.2t |
6 | 25~ | ~6.0t |
削孔板厚(T)は下記の通りとする。
t1+t2=T
例 / 0.6t+2.3t=2.9t
ねじの呼び径は、4.2×16以上を使用
上部鋼板に先穴が開いている場合は、下地鋼板の厚みを適応鋼板と考える。
t2=T(上部鋼板の板厚は無視しても良い)
②リーマ付きドリルねじ
リーマ付きドリルねじを使用することで、取付部材の浮き上がりが無くなり、最大の働き長さが適応板厚の上限になる。
注)
リーマ付きドリルねじのヒレは後半に接触の際、飛散することからリーマ付きドリルねじの使用はボード類や木質財を取り付ける場合に限定される。
ドリルねじの正しい使い方、誤った使い方
①鋼板と鋼板の間にボード類を挟む場合
②ボード類や木質材を下地鋼板に止める場合
③ドリルねじの呼び長さは、働き長さを目安に選定する。
確実な締結のためには、ねじの働き長さ(最少、最大働き長さ)を求め、ねじのサイズを選定する必要があります。最大働き長さは一般には下地材より完全に突き出たねじ部の3山(=3ピッチ)を除いた有効な締結長さを言います。求める働き長さは、ねじ部(全ねじ・半ねじタイプ)やドリル部(標準タイプ・リーマ付き)の形態により異なります。
④ドリルねじの締め付け
ドリルねじを締め付ける場合、ねじの締め過ぎによる頭飛びやねじの破断、ねじの空転をしないように締結部材を考慮し、適正なトルクで締め付ける。但し、この時のトルクは締結部材の厚みやねじの形状・寸法を考慮すべき項目があるため、その用途 にあったトルクを設定する。
参考に締め付けトルクの目安値を示します。
ねじ呼び径 | 締め付けトルクの目安値 | 参考:ねじり強さ | ||
---|---|---|---|---|
N・m | kgf・cm | N・m | kgf・cm | |
ST3.5 | 1.96 | 19.99 | 2.8 | 28.56 |
ST4.2 | 3.29 | 33.56 | 4.7 | 47.94 |
ST4.8 | 4.83 | 49.27 | 6.9 | 70.38 |
5 | 5.67 | 57.83 | 8.1 | 82.62 |
ST5.5 | 7.26 | 74.26 | 10.4 | 106.8 |
6 | 9.8 | 99.96 | 14 | 142.8 |
ST6.3 | 11.83 | 120.67 | 16.9 | 172.38 |
※ 締め付けトルクの目安値はねじり強さの7掛けとしています。
呼び径ねじ山形状 | 3.5 | 4、4.2 | 4.8、5 | 6、6.3 | 特徴 |
---|---|---|---|---|---|
タッピングねじ山 (標準) | 20 (1.27) | 18 (1.4) | 16 (1.6) | 14 (1.8) | ・ドリルねじに通常よくつかわれるねじ山で、ねじ込みの作用性が良い ・軽量鉄骨への締付に広く適する。 |
マシンねじ山 (細目) | - | 32 (0.7) | 24 (1.0) | 24 (1.0) | ・下地材が薄くても必要な保持力が確保でき、また緩みにくい。 ・保持力の確保がしやすいため、タッピングねじ山形状よりねじ外径を小さくでき、ねじ込みトルクを軽減できる。 |
※表中の数字は長さ25.4mm(1インチ)あたりのねじ山数で、()内はピッチmmを表す。
鉄 | 炭素銅 | 16~22A | SWCH16~22A | 磁性 あり | ・一般的な材料で相手材は鋼板 |
---|---|---|---|---|---|
ステンレス | ステンレス鋼 | 13Cr系 | SUS410 | 磁性 あり | ・耐食用材料で焼入れが可能で相手材は鋼板 |
18Cr-8Ni系 | XM-7 | 磁性 なし ※ | ・高耐食材料で焼入れが不可能で相手材はアルミ等 |
※磁性はないが、加工硬化により磁性を帯びることがある。
推奨電動工具
電動ドライバーはねじの種類や呼び径に合った適正なクラッチ付きの電動ドライバー(スクリュードライバー)を選定する。
なお、締めすぎによる頭飛びやねじ破断、ねじの空転を防止するため、深さ調節ストッパーを使用されることと、インパクトドライバーのご使用はできるだけ避ける事をお勧めします。
また、止むを得ずご使用の場合は、ねじの締めすぎには十分ご注意ください。
メーカー名 | モデルNo. | 回転数(rpm) | 電圧(V) | 電流(A) | 消費電力(W) | 締付能力(mm) | 重量(kg) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
マキタ | 6801N | 2,500 | 100 | 5.2 | 500 | 6 | 1.9 |
日立 | W6VH | 1,000~2,500 | 100 | 6.0 | 570 | 6 | 1.5 |
W8V | 700~1,700 | 100 | 6.0 | 570 | 8 | 1.5 |
推奨回転数
電動ドライバーをご使用の際は、下記表の回転数を目安にご使用ください。
ねじの種類 | ねじ径 | 回転数 | 備考 |
---|---|---|---|
ドリルねじ (切り刃先) | 4mm | 2,500 | 6mm以上の厚板では、 1,800回転以下でご使用ください。 |
5mm | 2,500 | ||
5.5mm | 2,500 | ||
6mm | 1,800 | ||
とがり先 | 4mm | 2,500 | |
5mm | 2,500 |
ビットの選定
ビットは打ち込むねじの頭部リセスの形状と呼び径に合ったものを選定する。
ねじの呼び径 | 3.5 | 4 | 5 | 6 |
---|---|---|---|---|
ビット番号 | 2番(#2) | 2番(#2) | 2番(#2) | 3番(#3) |
ねじの呼び径 | 4 | 5 | 6 | 8 |
---|---|---|---|---|
ビットの二面幅 | 7 | 8 | 3/8''(10) | 12 13 |
記号 | 硬度 | 特徴・用途 |
---|---|---|
X | 最高硬度 | ドリルねじ、タッピンねじ等に用いられ、摩耗に強く、低トルク用 |
H | 高硬度 | タッピンねじ等中硬度のねじに用いられ、中トルク用 |